「“異端”から“常識”へ ─ コードバン脱皮を10年越しに語る」
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今から約10年前の2016年6月にコードバンの脱皮と題して記事を書きました。
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さらなる輝きに期待 コードバン脱皮を突き詰める
いよいよ2月に入りましたね〜 2月は28日までしか無いので ...
これがInstagramでバズリ瞬く間に市民権を得ることになりました。
元々のネタは、ワタシのフォローしている方@oyaoyaoyabunさんがやっていたことを自分流にアレンジしてやってみたのがきっかけでした。
その後、このコードバンの脱皮はネット上でも試した方がいっぱいいらっしゃって、記事でもよく目にします。
ワタシは今Instagramへの投稿は全くしていませんが、たまに閲覧専門で見ていると@takei0201さんなんかは極めていますねー
圧倒的に技術も知識もスゴイと思います。
経験値が半端ない。
自分で考えて独自路線を突き進んでいる@takei0201さんは本当に素晴らしく思います。
@takei0201さんpostから
@takei0201さんpostから
コードバン脱皮が約10年後たった今でも、色褪せることなく市民権を得ているんだなーと思うとSNSやネットの拡散てスゴイんだなーって感じます。
またコードバン靴の磨き方や、磨くってことへの需要の多さも再認識しています。
実は私のブログでも、6年間放置していたのにもかかわらず、このコードバンの脱皮や、ALDENの左右差等は継続的に閲覧があったんです。
多分、変態的なことにチャレンジしているので他にはないかもですねw
そして改めてこのコードバンの脱皮について書き足せればと思ってます。
デコボコした面をキレイにしたい!
元々は、コードバン表面のデコボコした面をキレイにしたいって思いで悩んでいました。
カーフでもコードバンでも当然ながら凹凸があります。
光らせるにはこの凹凸をなくし、平坦にすることで面が均一になり、一面になることで光る前準備ができます。
皆さんが好きなワックスを塗って水研ぎする工程です。
革の凹凸にワックスを埋めて面を均一にする工程。
そのワックスで水研ぎする工程こそ楽しいのですが、厚化粧になりがちなんです。
ワックスを埋める作業は、少なくともワックスが乗ります。
キレイに見せる作業なんですが、ワックスを乗せなくても革本来のポテンシャルを発揮させ、薄化粧で光らせたいって思いが強かったんです。
そう、#薄化粧推進派
ワタシは多少ながら研磨の知識がありますので、光らす工程は心得ているつもりです。
どんなに光らせようとも、面が均一でなければ、乱反射してツルンとした輝きは得れません。
粗研磨→中研磨→最終研磨
当然ながら、粗研磨で面を作り徐々に研磨傷を消していき鏡面仕上げにしていきます。
この工程で大事なことは、1面で仕上げること。ではないかと思ってます。
2面3面と面が増えることによって、光の屈折が生まれます。
その光の屈折で、目に入ってくる光が、1面であればキレイに映る。
複数面ならキレイに見えない。
研磨した後、顔が長細く均等にぬべーとうつっていたら1面になっている証拠です。
コードバン脱皮=革を削る行為
研磨をする際は、研磨量を考えます。
面を平坦にする行為なので、何処かの面が低ければその面を基準に周りの面を削ります。
著しく低い面(凹んでいる)箇所は、かなりの研磨量が必要になります。
またぼかしも入るので、広範囲にもなります。
通常の革の厚みは、1〜1.5mmです。
1mm以下になる場合は薄い部類に入ると考えています。
厚みを確認しながら革を削ることができれば問題ないですが、コードバンの脱皮に関しては「靴」なので確認作業が難しくなります。
結構手探りになるんです。
そしてエスカレートすると、
こんな感じで穴が空きますw
失敗しているから言えるんです。
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まぁーこれは極端ですが、削りすぎたときには、層が変わってくるので、明らかに面が荒くなります。
繊維質が露骨にでるというか。
ここまでくれば革自体が崩壊しています。
再生不可能。。。
いくら面を均一にする。といってもやり過ぎや研磨量を考えないと革がどんどん薄くなっていき、キレイにするどころか履けない靴を作る場合もあります。
また、最近のコードバン靴(alden)は革が薄い傾向にあります。
ワタシの場合は1mm以下の革の厚みでした。
薄い革製品が更に薄くなる。
結構危険度あります。
そして以前にも書きましたが、
コードバン脱皮は不可逆式
1回やれば元には戻りません。
失敗してからは遅いんです。
コードバン靴は高級靴です。
いまや20万もする靴を、履けなくすることってできません。
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コードバン脱皮を自分でする際は、ある程度の覚悟が必要なんです。
コードバン脱皮でしてはいけない箇所
通常革は、表面(銀面)と裏側(床面)に分類されます。
ワタシも最近レザークラフトにハマっていて、革製品を自分で作っているのですが、銀面に血管の後だったり、表面のボソボソしたあとがあったりと、革自体の品質って様々なんだなーと感じます。
床面にはトコノールを塗って、面を作っていきます。
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トコノールを使ったメンテナンス①
いやぁ〜、最近疲れ気味の靴バカです・・・ って言っても、ありがたいことに ...
床面ってザラザラしています。手で触ると引っかかるって感じ。
この面をガラス棒やカッサ棒、頒布などを使って繊維を潰すというか、こすりつけるというか。
摩擦も入ることから、みるみる光ってきます。
床面が光ると、銀面よりもピカピカになるんですよね。
コードバンはこの床面が表になっています。
簡単に言うと、裏の革を表にしてる。
コードバン層と言われる層は繊維が緻密で硬いです。
発掘するような感覚で削り出す。
そこには職人のなめし技術や、グレージング技術が織り込まれて、あの艶々のコードバンが生まれています。
元々床面なのでザラザラしています。
大げさに言うとスエードみたいな感覚です。
そのスエード面をグレージングによって面を作りながら光沢を出しています。
そこにはなめし作業やオイルを入れたりとかで、前工程で光沢も変わってきます。
人間に例えると、整髪料で髪型を整えるけど、突然の雨に打たれれば整髪料が雨で流れて、乾いたときには爆発。みたいな。
整髪料の選択でツヤも違うし、整い方も違う。
当然ながら、
短い毛は整いやすいけど、長い毛は整いにくい。
しかし、短い毛はハネやすく、長い毛はハネにくい。
コードバンもまた同じです。
ワタシがいつも悩んでいたコードバンの白い皺
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履いたら気になるコードバンの白い皺について
いやぁ〜リベンジですよ! 私にとって、コードバンの白い皺に関しては永遠の ...
これなんかは、皺の部分の毛が起き上がる現象です。
このシワの部分を限りなく起き上がらせずにキレイに整えきれば白い皺はできないと考えています。
ある程度整えきれる毛の長さがあり、尚且つ柔軟性がありガチガチの整髪料をつける。
これであれば白い皺の出現はなくなるでしょう。
しかし、ワタシの知る限りそんなコードバン靴見たことない。。。
少なからずとも、白っぽくはなっています。
削る=毛の長さ(繊維層)が短くなる
厳密に言えばそうなります。
ただ、この毛が起きやすいっていうのはあくまでも屈曲部分。
トゥーや踵の部分は屈曲しないので毛は起き上がる箇所ではありません。
皺の入る部分や曲げ伸ばし部分へのコードバン脱皮は避けるべき
ワタシのコードバン靴は、履き皺の部分も多少しています。
白い皺が出るんですよね。。。
もちろん、コードバン脱皮だけが原因ではありません。
個体差の問題、革質色々な要因があります。
しかし無理に皺部分を脱皮して、白い皺の原因を作る必要もないと考えています。
コードバン脱皮の本来の役目
ワタシの場合、薄化粧を維持したくて取り掛かりました。
また、艶が出にくい。って感じていた靴だったので、興味本位もありました。
結果的には、薄化粧で維持ができ、少量のクリームとブラッシングで靴が光ります。
コードバン脱皮という観点からすると、大成功!
やってよかったです。
ただ、本来これらはメーカーの品質管理が行き届いていればコードバン脱皮のようなリスクがあるやる行為はやるべきではない。って思ってます。
ワタシの所有しているコードバン靴でも、脱皮してない靴はあります。
本来のコードバンの艶も状態もいいです。
コードバン脱皮の本来の役割って、
美容外科手術
みたいな感じだと思ってます。
靴に傷がついた。とか左右差が大きいとか。光らないとか。
このままでは履けない
この傷を消したい
買った靴がひどくて愛せない
とかではない限り、やるべきではない。
痛くもない腹を探る必要はない
10年前に記事にしといて矛盾はしているんですが。。。
正しい工程で、正しい知識(@takei0201)さんのような方に依頼して施術するのであれば、更に靴自体のポテンシャルも上がりその靴が輝きます。
また最近のコードバン脱皮の工程でも進化しているとのことです。
本当に技術がある方は常に進化しているものです。
@takei0201さんpostから
ただ、ネットの情報だけでチャレンジしてみて、失敗した。履けなくなった。っていうのは悲しすぎます。
コードバン脱皮って検索したら結構増えていますからね。
ホントびっくりですw
記事が増えているからこそ、自分で判断して選択してほしいです。
10年前にも書いていますが、
コードバン脱皮は最終兵器です
ワタシみたいに、この靴を最後まで履きつくす。って覚悟がなければ自分でチャレンジすることはオススメしません。
自己責任で完結できる人のみチャレンジしてください。
また記事に対して否定的な考えの方もいるのは事実です。
考え方が違うので、否定的な意見があって当然です。
ただ、このコードバン脱皮で救われた靴、救われた方。がいるのも事実です。
ワタシは、救われた部類に入りましたのでシェアしたまでです。
万人に適応する事項なんてこの世にはありません。
選択して実行するのも自由
否定するのも自由
情報は溢れています。
この時代だからこそ、自分で情報を精査して選ぶんです。
ワタシは一応発信者です。
自分で試していないことは書きません。
その中で発信して、選んでいただければ幸甚です。
記事内容の賛同が得られれば、SNSの拡散で一気に広がる。
炎上パーターンもまた同じ。
改めて襟を正そうと思います。