オールデンの左右差⑤#54321
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さぁー、引っ張り過ぎのオールデンの左右差ですが、今回が最終回です。
ここまでお付き合いくださって、ありがとうございます。
さてさて、穴の空いたアッパー部分の修復をどうするか?
履き皺の部分なので、パテで埋めても同じこと。
ならば、片方の右側だけ購入する?
それは無理ですよね・・・
ならば、USEDでもうワンペア購入する?
現実的にはこれが一番近いかと思います。
しかし、見た目の問題だけで、履き心地は良いんです。
変に癖のついたUSEDを購入して、履き心地が変わるのもイヤでした。
結局、解決策のないまま時間が過ぎて行きました。
この靴を見ながら考えた結果。
結局ステッチは縫わなければならない状況です。
ならば、ここを交換すれば元に戻るのではないか?と。
新しい、#54321のアッパー部分をパーツとして購入すればまた靴が履ける。
そのように思いだしたんです。
前回のオールデンの左右差④にもあった、ニコイチです。
丁度、#54321はアッパーの部分が縫われていますので、交換は可能です。
これが1枚革であれば無理でしたね〜
しかし、この部分だけ売ってるのって聞いたこともないです。
ましてや、ホーウィンのコードバン#8なんて・・・
売ってるわけ無いですよね〜
USEDでワンペア買って切り取るのも馬鹿らしい・・・
今の状態は、履き心地は良いんです。
んんんんん〜
っと、
ネットを徘徊していたら、
あったんです!
ホーウインのコードバンが!
奇跡ですよね〜
厚みも見れば反対側の左と同じくらいの革の厚み!
早速購入したのですが、色はBLACK。
バーガンディーとは違います。
流石に、そのままでは使うことが出来ず、ダメ元で脱色しました。
脱色にはアセトンを使ったのですが、前回革へのダメージでクラックが入ったため、慎重に脱色します。
色の調合は反対側を横に置き、現物合わせでやっていきました。
ある程度色が似ていれば、後はクリームで微調整すればなんとかなると思っていましたので、おおまかな色だけ合わせるようにしました。
そして、革の色をあわせ。
染色は、これを使いました。
スピラン
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アルコール染料です。黒を脱色するので仕上がりはグレーに近いです。
それを限りなく#8に近くなるように調色して合わせていきます。
概ね赤を基本に黒と紫を調合して合わせていきました。
革が仕上がったら今度は型取りです。
同じような形にしないといけません。切り出した革は、履き皺も入っていることと、ところどころ伸び縮みもあるため大まかにしか出来ません。
そして、問題はステッチ。
おなじ間隔で、穴を開けることは不可能です。
ミシンみたいに決まったピッチを開けれるわけではありませんので、自分の勘だけが頼りですね〜
見た目の穴の位置をビミョーに調整しながら革に穴を開けていきます。
切り取った革ができました。
パーツも揃いました。
色も何とか合わせています。
そして、オリジナルの破れたコードバンのアッパーと新しいコードバンとの比較です。
実は、左右の色の差もあったことから、靴全体をダークバーガンディーからアルコール塗料でBLACKにしていたんです。
どちらにせよ、この状態での修復は無理です。
色々やりましたからね〜
クラックは他のところにも飛び火して、至るところでヒビが入っていました。
しかも、革の厚みは0.5ミリ以下。
どう考えても薄すぎます。
反対の左側のアッパーは1ミリ以上の厚み。
これだと差がでても無理は無いです・・・汗
正直、あんまりですよね〜
これでも正規品でリジェクト品ではありませんでした。
どんな検品してんだよ!(怒)
まっ、スタートラインにも立てました。
さぁーここからです!
私は小学生の家庭科以来、縫い物なんてしていません。
革の縫い方も知りません。
反対側の縫い目を見たら、
何でここから糸が出ているんだろー?
って不思議に思いました。
やはり通常の縫い方では無理があります。
ネットで縫い方を調べて、上下で2本の糸をうまく交差させながら塗っていく方法を見つけたんです。
縫い方の名前はわかりませんが、とにかくやらなければこの靴はお役御免になります。
しかし、革って硬いんですよね〜
親指でグイグイ押すんですが、針の後ろを押すたびに、
「いてぇっ!」
って感じで上手くいきませんでした。
しばらくすると要領もわかってきてようやく片方が縫えました。
ここまでくれば、完成は間近です。
左右のアッパーが縫い終わると、自然と笑みが出てきます。
(この部分の写真がなくなっていてアップできませんでした・・・涙)
そして最終、タンの部分。
ここを縫い上げれば終了です。
多少の型紙の差で、ねじれ気味で縫い付けましたが、一応完成です。
縫い付けが終わったら、恒例の皺入れの儀式です。
足入れをした時に、素人の縫い方なので、ステッチがブチブチ切れるのではないかと怖かったです。
ゆっくり足を入れ、ゆっくり足を曲げてみると、
しっかり曲がります!
糸が切れる気配もありません。
概ねステッチの縫い付けは成功しました。
そして、
左が術前、右が術後
左は革の厚みが薄いことから、皺が折れ線になっているのがわかります。
反対に術後は、ある程度厚みがあるために波打ったウネルような皺。
やっぱり、コードバンらしさで言うなら右の皺がカッコいいのではないでしょうか?
よく、Instagramのpostでも折れ線のような皺の入ったオールデンを目にすることがあります。
これは、革の厚みが薄いから出る現象ですね。
私みたいに、片方は革が肉厚で、片方が極薄。
っていうのは稀だと思いますが、昔のコードバンの厚みから言えば、最近の革の質は悪くなって、薄くなっていると思います。
これだから、USEDのオールドオールデンの需要もあるんでしょうね。
無事に皺入れも終わり、左右の色の差、艶の差、をクリームで調整します。
一番の根本だった、革の厚みもほぼ一緒であるため、皺は綺麗に入っていると思います。
どうでしょうか?
革の質感、色、艶、皺が左右対称に近くなり、左右差は軽減されていると思います。
素人の割には良く出来ていません?(笑)
実は、アッパーのステッチ切るときに、勢い余って切ったらいけないとこまで切ってしまって・・・
修復するの大変でした・・・汗
また、
オールデン特有のステッチ切れ。
に対応して、素人なりに何重にも糸を絡めていますので、多少のステッチ切れではビクともしないと思います。
これでようやく、長い長い私の戦いが終わりました。
#54321に恋をして、何回もフラレて諦めかけていましたが、ようやく成就した感じです。
プロの修理屋さんにも断られたりしましたが、諦めなかった結果がホーウィンのコードバンの出現だったり、左右差の軽減に繋がったのではないのでしょうか?
また、偶然にも#54321だから出来たことだったと思います。
想いは、必ず伝わります。
その想いが、弱ければ引き寄せは出来ません。
常に考え、成功することをリアルに想い描ければ、必ず成功すると思っています。
諦めればそこで終了!
今回は、「靴バカ」の行動を5回に分けて書いてきました。
私は、基本的に広く浅くが苦手なので、一つの分野に特化して深掘りしていくタイプです。
靴バカと言ってますが、持っていない靴のことまでは知りませんし、興味のない靴に関しては知ろうともしません。
ですが、興味のあることは徹底的に調べ上げ、深掘りして追求します。
オールデンの左右差。で検索したら欲しい情報が無かったことから、自分の経験則を元にこのように書いてみました。
恐らく、ここまでやるバカは私だけかもしれません。
同じことをしなくても、左右で光り方が違うことや、左右の皺が同じにならない。とか同じ悩みの方いますよね〜
正直申しまして、今回の失敗の責任は全て選んだ私の責任です。
また、見極めができなかった私の責任で、やっぱり自己責任だと思います。
オールデンの試着時って、基本足を曲げて歩いたりはしません。
履き皺がつかないように、ロボコップバリに足を進めます。
それは、次の方に履き皺がついた靴を購入してほしくないのと、自分が逆であればそのような扱いのある靴を購入したいからです。
雑な扱いをして試着している方は、このような靴を買う資格はないですね。
街のセールで売ってる安い靴を買っていただきたい!
お店にも迷惑かかるし、次に購入する方に対して大変迷惑ですから!
って、いるんですよ。このような、なんちゃって靴好きが!
店員からのシューホーン差し出しにも無視して、無理やり履く人。
最低です(怒)
コードバンの皺入れは、新品の時にしか味わえない儀式であることと、新品を買った人の特権です。
これにコダワリがないのであれば、USEDでもいいと思います。
私はある程度の覚悟を決めているし、これから何十年も付き合う靴なので、靴の皺入れは自分で決めて入れたい派です。
ですが、よく見ないといけないのにもかかわらず今回は失敗しました。
わかりにくいですよねぇ〜
ただ失敗はしたものの、色々な経験もできましたし、これができればある程度の不良靴も更生させられる。って自信がつきました(笑)
がっ、
そもそも論でいえば、オールデンというシューメーカーの品質向上、検品徹底を期待したいところですね。
無理だと思いますが・・・
このブログを見て参考になれば幸いです。
お付き合いくださり、ありがとうございました!